地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2018年04月号 vol.4(4)

精神科の薬は、やめることができますか?〜統合失調症編〜

2018年04月28日 15:19 by 89089314

 精神科領域の疾患では、ほとんどのケースにおいて長期的な薬物療法が必要になります。

 これは薬を使うことに絶対的なエビデンスがあるわけではないのですが、人手も不足していて制度の整備も不十分な我が国の精神科医療の現状を踏まえると、どうしても薬に頼ってお茶を濁さざるをえないような状況が多いということが言えると思います。

 例えば、不眠症には認知行動療法が有効であることはもはや疑いようのないほどのエビデンスがありますが、日本のどこの医療機関でもきちんとした認知行動療法が受けられるわけではありませんし、できるとしても時間がかかりますし、効果が現れるまで何回も治療を受けなければなりません。そして治療を受けようとする患者さんも早く効果が現れる治療を望むことが多いでしょうから、そうすると「とりあえず睡眠薬使っとくか〜」みたいになるのはご想像いただけるかと思います。

 そういうことは、残念というべきなのかもしれませんが、精神科医療のあちらこちらに見られます。医療者側も、患者側も、結果を早く求めるがあまり、楽に結果を得たいがあまり、つい安易に薬に頼ってしまう、頼らざるをえない、という状況はよく見られます。

 とはいえ、全く薬無しであらゆる精神疾患を治療できるかというと、決してそんなことはないわけで、ものすごく薬の効果が現れるような治療であれば、それはまずは薬を使おうか、ということになるでしょう。

 代表的なものが、統合失調症に対する抗精神病薬による治療です。例えば、代表的な抗精神病薬のリスペリドンの効果は、コクランライブラリーのシステマティックレビューによれば、プラセボ比30〜40%ぐらいの有効性があり、治療からの脱落もそれと同じぐらい少ないことが示されています1)。

 実際に臨床で見ていると、もちろん全員に効くわけではありませんが、急性期の統合失調症に対して抗精神病薬の効果は非常に大きいと感じています。幻聴が和らいだり、妄想が気にならなくなったり、そういう言葉を患者さんから聞くと効いているんだなぁと感じますし、そもそも入院当初は意思の疎通も取れないような状態だったのが少しずつ話せるようになるだけでも効果を感じることができますね。

 とまあ、そのように薬がてきめん効いた場合、今度は「その薬をずっと続けていかなければならないのか?」という疑問も湧いてきます。そこで今回は、統合失調症において、一旦薬に効果が認められたあと、治療薬をやめるとどうなるか?といった問いに答える論文を少し探して覗いてみたいと思います。

文献
1) Cochrane Database Syst Rev. 2016 Dec 15;12:CD006918.

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