新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐために要請された不要不急の外出自粛は、「巣ごもり」という言葉の意味や印象を大きく変えたように思います。巣ごもりとは、「鳥などが巣にこもること」を意味する言葉ですけど、今や「外出を控え、自宅で過ごすこと」の意味合いのほうが一般的といえるかもしれません。このような「巣ごもり」という現象が社会に与えた影響は大きく、特に人間の消費行動を大きく変えました。
ニッセイ基礎研究所のレポート【1】によれば、『新型コロナの感染拡大による外出自粛等の影響によって、家計消費は全体では減少しているが、食料品やトイレットペーパーなどの「買いだめ的な行動」のほか、「巣ごもり需要」や「デジタル需要」、「非接触志向」の高まりによって需要が増した領域もある』 と報告されています。新型コロナウイルス感染症の完全な収束にはまだ時間がかかるように思われ、こうした生活スタイルは今後も引き続き行われるものと考えています。
巣ごもり生活を送る中で、インターネットを利用する機会が増えた方も多いでしょう。通販サイトの利用や、テレワークを行うにしてもインターネットへの接続環境は必須です。あるいは新型コロナウイルスに関する情報収集にもインターネットを利用する機会は多いように思います。
「stay home」や「家にいよう」などのコピーに象徴されるように、コロナ禍では家に引きこもって巣ごもり生活をすることこそが、感染拡大を防ぐために重要であるという認識は広く浸透しつつあります。健康を守るために巣ごもりするというわけです。しかし、そうした生活スタイルが真に健康的かといえば、コロナ禍以前の社会ではむしろ不健康という認識のほうが一般的だったのではないでしょうか。
巣ごもりが不健康であるという認識は、運動不足という側面もあるかもしれませんが、「インターネット依存」や「引きこもり」という言葉からも連想されやすいように思います。特に「依存」という言葉はとてもネガティブなイメージを含んでいます。薬物依存、アルコール依存……などなど、依存症をあげればきりがないですが、依存状態を「正常」か「異常」かの二択で考えれば、往々にして後者を選ぶ人がほとんどでしょう。
本稿では「巣ごもり」という、日本人の多くがこれまでに経験したことのない生活スタイルから、インターネットの利用やひきこもり現象を手掛かりに、「依存」について、僕なりの考察をしてみたいと思います。
【参考文献】
【1】ニッセイ基礎研究所:新型コロナで増えた消費、減った消費-巣ごもり・デジタルは増加、外出型消費は大幅減、シェアも明暗
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