初夏の風が心地よく、木陰で昼寝でもしたい気分で今回のお話を書いています。実際は、そんなことをしている余裕はないのですが、そんな爽やかな気分になれるだけでも日常のストレスは軽くなっていくのかもしれません。

 
 それにしても、ストレスというのは実にやっかいなものとして扱われています。ストレスは、積み重なったり、押し返せないほど大きなものがのしかかってくると、人の心は案外たやすく折れてしまうものです。そしてストレスに蝕まれ、心身ともに病んでいきます。
 「心身ともに」というのは非常に重要なポイントで、先日は身体疾患によるうつ状態の懸念とうつ状態による身体疾患の懸念について取り上げてみました。

地域医療ジャーナル2017年3月号『身体を病むと心の調子も悪くなりがちですが、心を病むと身体も調子が悪くなるのですか?』

 その中で、例えば、がん患者さんのうち、うつ病を合併している人の割合は一般人口に比べて2〜3倍で、うつ病と診断された患者さんのうち身体症状のみを訴える人は45〜95%もいて、しかも抑うつや不安が強いとがんになりやすいかもしれないというエビデンスを紹介しました。おそらく多くの人が多少なり実感したことがあるかと思いますが、身体疾患は精神状態に影響を与えますし、逆に精神疾患は身体状態に影響を与えます。それだけ繋がっていれば、時にはがんになってもおかしくないかもしれません(その記事中で取り上げたのは、それが確かだとするレベルのエビデンスではありませんでしたが)。

 では、ストレスは自分自身ではなく、他の人、特に自分に最も近い大事な誰かに向くことはないのでしょうか。八つ当たりとか看病のこととかではありません。妊娠中のストレスが、お腹の中の赤ちゃんに影響することはないのでしょうか。
 妊娠中の強いストレスが妊娠継続と出産に対して良くない影響を及ぼしているであろうことは多くの人が考えることがあるかと思います。先に申しますと、そのような研究は既にたくさんあります。では、その影響とは具体的にどのようなものがどの程度起こるのでしょうか。そのようなリスクを気にする時は、できるだけ定量的なデータに基いて考えたいものです。

 ということで、今回はストレスと妊娠・出産についての最新のエビデンスを紹介したいと思います。

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