「クーリングにはエビデンスがない」
そんな言説を看護の現場ではしばしば耳にします。
単に「クーリング」という場合、「氷枕などで冷やす行為」のことを指すことが多いです。
発熱を想定すると、後頭部辺りを冷やすことが多いでしょうか。漫画などで病人を看病する描写のときに目にすることがあるかもしれませんが、最近はあまり見なくなってきたような気もします。自宅に氷枕がある家もそう多くはないのではないでしょうか。
さて、冒頭の「クーリングにはエビデンスがない」ですが、意味合いとしては「クーリングは効果的ではない」といった感じだと思います。
確かに、クーリングに関する研究自体少なく、あってもICU(集中治療室)に入室するような重症患者が対象であることが多いのが現状で、大部分の病院看護師が現場で活用できるような一般病棟患者を対象とした研究が少ないのは事実です。
それは、やはりクーリングそのものだけではなかなかアウトカムに寄与しない(寄与してもそれを評価し難い)ことや、「クーリングはシバリングを誘発するリスクがある」ということのコンセンサスが得られてきていることなどが要因だと思われます。
「クーリングは効果的ではない」
確かにそうかもしれません。
しかし、以前の体位変換や抹消静脈カテーテルの記事でも述べているように、実際にエビデンスに触れることなく(一次情報に立ち返ることなく)、研修や先輩からの伝聞にのみ依拠してしまう態度は、切り捨ててしまっているような側面もあるように思います。
また、「クーリングは効果的ではない」は過度な一般化であり、「クーリングはある患者には効果的ではないが、ある患者には効果的である」という方がより正確なのかもしれません。
看護における"当たり前"を疑ってみましょう。
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