地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2018年07月号 vol.4(7)

薬の飲み合わせ 第7回「片頭痛の薬をもらいにきた患者さん」

2018年06月29日 17:22 by ph_minimal
 「夏が終わった…、野外フェス終焉の季節だ…」と思っていたら、あっという間に2018年の夏が近づいて参りました!今年はどのイベントに行こうか悩んでいるところなのですが、仕事もありますから、あまり好き勝手なことはできないので悩ましいところ…。
 
 ところで、ちょっと気が早いのですが、8月にはお盆休みがありますね。一般的に、クリニックは休業となるところが多い一方で、総合病院は暦どおり営業している場合が多いと思います。
 以前、総合病院の近隣の薬局に勤めていたことがあります。お盆休みは病院スタッフもお休みの方が多いのか、予約患者数も少なく、比較的、暇な期間となるのですが、普段いらっしゃらないような患者さんたちが来局します。というのも、お盆はクリニックが軒並みお休みなので、普段、かかりつけのクリニックに通院している方が、お盆も営業している病院に臨時で受診するんですね。クリニックの近隣の薬局もお盆休みのため、総合病院の近隣の薬局としては、"はじめまして"な患者さんが多く来局なさるわけです。よって、薬歴(お薬のカルテ)の記録もないため、こういう場合こそ、ぜひ、お薬手帳を活用して頂きたいところです。
 
 さて、今回はそのような状況で起こり得る症例をご用意しました。では、参りましょう!
 
仮想症例 
 
25歳男性 Gさん
 
「片頭痛の薬を切らしてしまって…。かかりつけの▲▲クリニックがお盆休みなので■■病院でかわりの薬を出してもらいました」
 
処方内容〔■■病院 内科〕
 
Rp1)リザトリプタン安息香酸塩 口腔内崩壊錠10mg(マクサルト®)1錠×6回分 片頭痛発作時に服用
 
※口腔内崩壊錠:口の中でスッと溶けるので水無しでも唾液だけで飲み込めますよ~という特殊加工の錠剤のこと。
 
 リザトリプタンは片頭痛の痛みを緩和する薬です。予防的に毎日服用する薬ではなく、発作時のみ服用する頓服薬として使用されます。普段は別のクリニックで片頭痛の薬をもらっていたということで、お薬手帳を拝見すると、▲▲クリニックで定期的に下記の薬を処方されていることがわかりました。
 
併用薬〔▲▲クリニック〕
・エレトリプタン臭化水素酸塩(レルパックス®)
・プロプラノロール塩酸塩(インデラル®)
 
 エレトリプタンはリザトリプタンと同じトリプタン系に分類される片頭痛治療薬で、片頭痛発作時のみの使用となっており、一方、プロプラノロールは片頭痛発作の予防薬として連日服用で処方されています。
 
「予防薬はまだ余りがあるんだけど、今月は片頭痛がひどくて、痛み止めがなくなってしまったんだ。同じ薬が欲しいと伝えたんだけど、■■病院では取り扱いがないので、同じような効果のある薬を処方すると先生から言われたよ。この痛みをなんとかしてくれるなら別の薬でもかまわないよ」
 
 どうやら、エレトリプタンは○○病院の採用品ではないため、同効薬のリザトリプタンが処方されたようです。世の中には多くの医薬品が発売されていますが、それをすべて在庫しておくというのは現実的に無理があります。そこで、病院では採用医薬品を決めて、原則、その中から処方するという処置がとられていることが多いです。よって、同じ作用機序の同効薬が複数ある場合は一部の薬剤のみ限定して取り扱うため、転院してきた患者さんの処方内容がその病院の採用品に沿って別の同効薬に変更されることもしばしば見受けられます。
 
 Gさんはかかりつけのクリニックがお盆休みということで、一時的に別の病院に受診されましたので、このような対応となったようです。普段使用している発作用の頓服薬を別の同効薬に変更しただけなので、一見、何の問題もなさそうですが、この処方変更は少し問題があります。
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