地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2021年01月号 vol.7(1)

更年期障害による身体症状に加味逍遙散は有効か?

2020年12月27日 11:08 by hatabo
2020年12月27日 11:08 by hatabo

2021年1月号です!今年もお世話になります。

どんな1年になるのでしょうか?昨年はコロナなど悪い意味で印象に残る1年でしたので、これ以上悪いことはないだろうと思い込んでます。ここ数年、がむしゃらに働くというより、何かを残したいという気持ちが強くなりました。なので、地域医療ジャーナルのような場があることは本当にありがたい限りで、大切に続けさせていただきたいと思います。

さて、今月は更年期障害に関する話題を選びました。私は当事者世代なので、不調に悩む声も周囲から聞こえてきますし、実際に薬局で患者さんのお話を伺うこともありました。薬物治療ではホルモン補充療法が第一に挙げられますが、血栓症にかかったことがある人など、治療に適応しない人がいるんですね。よって、漢方薬が選択されるケースが多いように思います。そして、漢方薬が効いているのかどうかわからないという声もよく伺います。処方される頻度が高い漢方薬として、加味逍遙散【1】が挙げられます。薬剤の説明書である添付文書を見ると、効能または効果が以下のように記載されています。

体質虚弱な婦人で肩がこり、疲れやすく、精神不安などの精神神経症状、ときに便秘の傾向のある次の諸症
冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症

市販されている処方ですので、体調に悩みを抱えている方であれば、「更年期障害 漢方」といったキーワードでネット検索をかけると見かけたことがある薬品名でしょう。検索でヒットすると「ああ、更年期障害って書いてあるし、飲んでみようかな」という気持ちになるかもしれません。でも、本当に効くんでしょうか?そもそも更年期障害が関与する不調ってどんな症状があるのか、いつまで続くのか、恥ずかしながらちゃんと理解しないまま患者さんに接してきたなあと、この分野は門外漢である私は思うのです。

今回は、加味逍遙散の更年期症状に対する効果を、プラセボと比較した論文【2】をご紹介しながら考察します。

【1】ツムラ加味逍遙散エキス顆粒(医療用)添付文書
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/5200017D1083_1_12/
【2】Effects of Kamishoyosan, a Traditional Japanese Medicine, on Menopausal Symptoms: A Randomized, Placebo-Controlled, Double-Blind Clinical Trial. Evid Based Complement Alternat Med. 2020 Jul 11;2020:9285317. doi: 10.1155/2020/9285317. PMID: 32733592

この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

今こそ大切にしたい、くすり教育

2022年09月号 vol.8(9)

日本食が健康に良いというのは本当?-食事と食文化とイメージのギャップ-

2022年07月号 vol.8(7)

暮らし全体から排泄ケアを考える

2021年12月号 vol.7(12)

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

2023年3月号 vol.9(3)

「世界なんて簡単に変わるはずがない」 多くの人は疑いようのない事実だと考えてい…

2023年2月号 vol.9(2)

渦中にいると気づかないぐらい ささいな判断の違いが 後になって大きかったとわか…

2023年01月号 vol.9(1)

人らしさ それは人間が持つ、魅力的で神秘的なもの。 その聖域が 人工知能(AI…