こんにちは。Independent Librarian(インディペンデント ライブラリアン) の chebsat33 です。
この連載では、主に “情報環境のあまり整っていない医療職がEBMを実践する際のヒントとなるようなリソースと活用のコツ” を紹介していく予定です。名付けて『ライブラリアンによるないないづくしのEBM』、略して『LiNE』としてみました。細く縒られた切れやすい糸のように拙い私の文章が、読んでくださる方たちのもとでそれぞれに綴られていき、いつか一枚の布のように何かの時にお役に立つものになったとしたらうれしいです。どうぞ、お付き合いくださいね。
さて。
第3回は、第2回の「思考の土台」に続き、「環境の土台作り」です。
第2回で紹介したHeyensらの文献で示された図「An updated model for Evidence-Based Clinical Decisions」のうち、自身の現場ではないところからその多くを入手することになるのが「研究の成果(Research Evidence)」つまり、論文などのいわゆる "文献" です。
臨床で、臨床以外の場で、それぞれにさまざまな疑問が日々生まれていることと思います。それらの疑問を客観的・科学的に捉えるための文献、みなさんはどのように集めていますか。
- その事柄についてよく知る人に聞く→おすすめ文献を紹介してもらえるかも
- PubMedや医中誌Webなどのデータベースを検索する→使えそうな文献が見つかるかも
- とりあえずググったりスマホに話しかけたり→意外な方向から有益な文献を得られるかも
私は、上記のいずれも有効な方法だと考えます。『The 6S Pyramid』(McMaster Universityが作成した、EBPのために有効なリソースを6層のピラミッドの元にまとめたもの)を活用している方もいらっしゃるでしょう。他にも収集の手段はあるでしょうし、絶対の正解もないとも思います。状況や環境などによりできないことはあるけれど、それなりにできることを考えてベストを尽くすことが大切なのかもしれない、そして、そのように尽力する方のお役に少しでも立ちたいというのが、このLiNEの目的でもあります。あと、私自身が筋金入りのズボラということもあり、かっちりきっちり頑張りすぎてすぐにへこたれてしまうよりも、要所は押さえつつも気楽にゆるやかに継続するための方法を考えていきたいというのもあります。
そこで、今回は文献を収集する際に「網」として使えるリソースと、収集した文献を整理整頓する際に「棚」として使えるリソースのうち、無料で使える(一部無料を含む)ものと、関連する図書館のサービスについて、ざっくりとご紹介します。すでに効率的な文献収集をしている方にとってはご存知のものが多いかもしれませんが、ひょっとしたら穴場的なリソースや活用法をご紹介できるかもしれません。また、同じ目的のリソースであってもそれぞれに特徴があり、人によって環境も使い勝手のものさしも異なります。各リソースの使い方に関するリンクも記しますので、機能の紹介やチュートリアル動画などを見て、ご自身に合うものを選んでくださいね。
参考までに、私がよく使うブラウザ『Google Chrome』のマイメニューバーは、こんな感じ↓になっています。ChromeやFirefoxのアドオン(拡張機能)には、文献収集や整理のためのお助け系が結構あるので、重宝しています(中には怪しいアドオンもあるのでご注意ください)。
<今回紹介したリソースはすべて2019年6月15日に検索およびアクセス確認を行いました>
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