地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2020年06月号 vol.6(6)

コロナ禍で疲弊するケアラーの姿が焙り出す、家族依存の障害者福祉の矛盾

2020年05月29日 00:11 by spitzibara

 私が理事に名前を連ねる一般社団法人日本ケアラー連盟では、つい最近これまでの活動が大きな実を結ぶ、画期的なできごとがありました。埼玉県で日本初のケアラー支援条例が制定されたのです。「全てのケアラーが個人として尊重され、健康で文化的な生活を営むことができるように」支援を行うことなどを明記し、そのための推進計画の策定を県に義務づけました。日本ケアラー連盟は同日、声明を出して歓迎、祝福しましたが、その声明に以下の一節があります。

 ケアラーには、いまだ介護は家族がするものという考え方のもと、ケアラー自身に焦点を当てた社会的支援の手が及んでいませんでした。本条例は、被介護者を支える陰の存在だったケアラーに光をあて、社会的に認知し支援するところに最大の意義があります。

 しかし、3月末の当時、急速に広がり始めていた新型コロナウイルス感染への対応においても報道においても、やはりケアラーに光は当たっていませんでした。一斉臨時休校による子育て家庭の負担増は連日のように報じられても、特別支援学校の休校により障害のある子どもたちのケア負担が急増している家庭や、日ごろから高齢者や障害児者等のケアがあり、そこに休校により日中の子どもたちの世話が追加される家庭にも、社会が目を向けることはありませんでした。医療崩壊の懸念が連日のようにテレビで取り上げられ、4月の半ばからは介護崩壊の問題も話題に上るようになりましたが、多くは事業所における介護崩壊の議論であり、在宅で介護を担う家族ケアラーの窮状には今なお十分に目が向けられているとはいえません。

  日本ケアラー連盟では3月21日から30日まで、ウェブ上で緊急にケアラーへのアンケートを実施し、381名から回答を得ました。その結果の詳細はこちら

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で多くのケアラーの生活が変わり、介護負担の急増とともに疲労とストレスが増している実態が明らかになりました。 要因の一つは、臨時休校や介護・支援サービスの休止や利用自粛により、介護時間が長くなった(平均5.7時間の増)こと。

「在宅で長男を介護しながら小学生二人の世話に追われる毎日で、自分の用事は一切できずにいます。手が足りなくなることも多く、自分のご飯はスキを見つけて摘みながらしのぐ日もあります。介護と子育てのダブルでとてもしんどいです」

「リハビリ、就労支援がすべてキャンセルになった」

「ショートステイやデイサービスが利用できず、要介護者が家にいるので、自分自身のことや家事ができなくなった」

「私自身4か所の医院に通っていますが、自分のをキャンセルすることも」

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