地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2020年09月号 vol.6(9)

ねこでも読める医学論文 第25話「水を使わない口腔ケア」

2020年07月23日 09:58 by ph_minimal

はじめに

 ちょっと本題に入る前に、告知させてくださいッ。医療従事者を対象とした医療ポータルサイト「m3(エムスリー)」で薬剤師コラムを連載させていただくことになりました。

https://pharmacist.m3.com/column/statistics

m3のアカウントをお持ちであれば無料で閲覧できます。

以上、宣伝終わり。

 

 今回のテーマは口腔ケアです。嚥下機能が低下した高齢者の誤嚥性肺炎の予防には口腔ケアが重要だと言われていますが、従来の口腔ケアにおいては、洗浄水の誤嚥が問題となることがあるようです。そこで、誤嚥のリスクが高い患者さんにおいては「水を使わない口腔ケア」を実施している施設もあると知りました(※)。今回はねこ薬剤師と一緒に口腔ケアの論文を読んでみましょう。

(※私、このあたりちょっと疎いのですが、いまは水を使わない口腔ケアの方が主流なんですかね!?)

 

ねこでも読める医学論文 第25話「水を使わない口腔ケア」

みに丸「カップラーメンうめぇ!このスープがたまらん!ズズズ…!げふっ、ゲホゲホ、ヘンなとこに入った!うえっぷ」

はかせ「騒がしいやつだな。落ち着いて食べてくれよ」

みに丸「ボス…、水…水をください!」

はかせ「はいよ」

みに丸「ゴクゴク、ぷはぁ~。あやうく窒息するところだった…」

はかせ「ちょっとむせたくらいでおおげさな。きみみたいな健康体の嚥下機能なら大丈夫だよ」

みに丸「そうですね、ぼくは無敵なので大丈夫ですが、高齢者で嚥下機能が落ちてくると誤嚥性肺炎が問題になったりしますよね」

はかせ「そうだね。誤嚥性肺炎の予防には口腔ケアが大事だと言われている」

みに丸「口腔ケアってどんな感じでやってるのか、ぼくは見たことがないですけど、口腔ケアそのもので誤嚥したりしないのかな…。洗浄したりするんですよね」

はかせ「なるほど…。たしかに。我々はそのあたりの介護の知識が疎いのでちょっと勉強してみようか。きみがラーメンを食べ終わるまでに、文献を探しておくよ」

 

10分後

 

みに丸「うまかった~。ラーメン最高」

はかせ「おお、食べ終わったか。どうやら最近は水を使わずに口腔ケアをするらしいぞ!」

みに丸「水を使わずにどうやって洗浄するんですか?」

はかせ「水の代わりに誤嚥しにくい口腔ケア用のジェルを使用するらしい。新しく開発された口腔ケア用ジェルの効果を検証した論文が出ているので読んでみようか[1]」

 

[1] 梶原 美恵子, 松山 美和, 守谷 恵未, 角 保徳. 非経口摂取高齢入院患者に対する「水を使わない口腔ケアシステム」実施による口腔細菌数の変化. 老年歯科医学2020 年 34 巻 4 号 p. 494-502

 

対象論文はこちらからダウンロードできます。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsg/34/4/34_494/_pdf/-char/ja

ぜひとも論文と照らし合わせながら、ねこ薬剤師たちの論文抄読会にご参加ください。

(今回は日本語の論文です!)

 

~研究の背景~

みに丸「日本語の論文を読むのは久しぶりですね!やっぱ、日本語だとテンション上がるゥゥ!」

はかせ「あ、そう。じゃあきみが研究の背景についてまとめてくれ。494ページの『緒言(しょげん)』という項目が、英語の論文で言うところのイントロダクションだ」

みに丸「ショゲン…?なんだ、その言葉は…、聞いたことないぞ。日本語も難しいじゃないか!」

はかせ「いいから、さっさと読みたまえ」

みに丸「はいはい。誤嚥性肺炎の予防に口腔ケアが大事だけど、咳反射や嚥下反射が低下していると、水を使用した従来の口腔ケアは洗浄水の誤嚥のリスクが高い。そこで、洗浄水を使用しない保湿ジェルを使用した口腔ケアなら誤嚥を回避できると」

はかせ「ふむふむ」

みに丸「従来の口腔ケア用のジェルだと口の中の汚染物を絡み取りにくく、十分な口腔衛生管理の効果が期待できないことがあるそうです。そこで、新しく開発された口腔ケア用ジェルを使用する口腔衛生管理『水を使わない口腔ケアシステム』が提案されました。これは水を使用した口腔ケアと比較して、咽頭への垂れ込みが少なく、汚染物の除去効率が高かったそうです」

はかせ「ほうほう。その新規開発されたジェルを使用した口腔ケアの効果を検証したというわけだ。では、研究の概要をみていこうじゃないか」

 

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