地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2020年09月号 vol.6(9)

世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流 6

2020年08月20日 23:22 by spitzibara

 読者の皆さんもご存知のように、京都でALSを患う女性の「死にたい」という希望を受けて、ネットで知り合った2人の医師が女性を殺害するという、衝撃的な事件が7月に発覚しました。

 私は、医師による行為というよりも、たまたま医師だったために手段を持ちえたというだけで、ゆがんだ考えを持った浅慮かつ愚かな人による嘱託殺人事件に過ぎず、これまで日本で医師による「安楽死」とされてきた事件とは全くの別物のように思いますが、皆さんはいかがでしょうか。

 何より気掛かりなのは、事件のあまりの衝撃に心を揺さぶられるままに、素朴な善意の人たちが短絡的に「本人が死にたいと言っているのだから、死なせてあげよう」と声高に発言してしまっていることです。そこに政治的な思惑を載せた発言が絡まり合って、勢いのある空気感が醸し出されていくことが気がかりです。素朴な善意の人たちに向けて「これはもっと複雑な問題。ただの『感想』を『意見』とカン違いせず、自分の『意見』をきちんと模索するためには、その厄介な複雑さにまずは目を向け、知ることから始めませんか」と問いかけたくてなりません。

 そんな思いも込めて、3月号以来となる、このシリーズを。

 ほぼ半年の間にブックマークしていた関連記事を遡って読んでみると、大きなニュースを拾い漏らしていたことの発見に加えて、興味深い続報も多く、またホロコーストゆえにジレンマを抱えるドイツや、カトリックの国として名高いポルトガルとスペイン、イタリアでも新たな動きが見られます。

この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流 7

2021年06月号 vol.7(6)

コロナ禍の生命倫理に関するニュース拾い読み

2021年01月号 vol.7(1)

京都ALS嘱託殺人事件から「死ぬ権利」と医療職の権限について考えてみた

2020年11月号 vol.6(11)

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

2021年09月号 vol.7(9)

原点を見直そう。 そう思えたのは、 アツい連載記事の数々があったから。 今...

2021年08月号 vol.7(8)

地域医療ジャーナル創刊から6年。 医療介護現場には「深い谷間」が至るところ...