地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2017年10月号 vol.3(10)

うつ病治療の希望はどこから生まれるか?〜抗うつ薬のエビデンス再考〜

2017年09月24日 15:26 by 89089314
2017年09月24日 15:26 by 89089314

 今や、うつ病になると「抗うつ薬」というものを飲んで治療する、というのは多くの人が知っているところかと思います。

 うつ病というものは脳内に内因的な異常(目には見えないし検査でもよく分からないけれど神経機能や伝達に関して存在する何らかのトラブル)があってうつ病になるとされています。決して本人が弱いからとか、気の持ちようだとかいうことが原因というわけではないので、薬を飲むなりして治療を受けるという認識が広まってきているのは良いことではないかと思っています。

 それにしても、一時期「うつ病は心の風邪」みたいに言われたこともありましたが、風邪のように放っておいて治る病気ではないこともまた理解しなければなりません。放置しておけば、仕事や学校に行けないなどの社会的な損失を招き、最悪自殺などで死んでしまう、そうでなくてもがんや心疾患などの身体疾患のリスクが高まったりすることで死にやすくなってしまうかもしれないということがあるわけです。

※身体疾患リスクについては、以下のバックナンバーをご参照下さい。

地域医療ジャーナル2017年03月号 vol.3(3)
「身体を病むと心の調子も悪くなりがちですが、心を病むと身体も調子が悪くなるのですか?」

 というわけで、うつ病はできるだけ治療に繋げて、その人の真のアウトカムを改善したい、と思うわけですが、うつ病治療はそう簡単にいかないということも知っておかねばなりません。特に、うつ病は薬さえ飲んでいれば治るというものではないという事実を……。

 今回はうつ病の薬物療法についての最新のエビデンスを中心に、うつ病に対する薬の効果はどの程度なのか、それをどのように捉えるべきかについてお話してみたいと思います。

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